浄水場
浄水場(じょうすいじょう)は、河川から取水した水や地下水などを浄化・消毒し、上水道へ供給するための水道施設である。
本項では上水道へ水を供給する施設を中心に説明する。汚水を処理する施設に関しては下水道および浄化槽の項を参照のこと。
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編集 概要
「水は命の源」のたとえの通り、人間は水なしではその生命を維持できない。「安全な水の大量確保」は都市の発展、ひいては人間社会の維持・発展上、必要不可欠な要素である。
文明の発達に伴い、人口は急激に増加し、安全な水が大量に求められる一方で、生活排水などが水源に流入、直接の飲用に適さなくなってしまう事態が生じた。河川では、取水場の上流にまで生活エリアが拡大し、取水以前に生活排水が流入したり、地下水にあっても土壌汚染に起因する劣化・有毒化が起こった。その結果、伝染病の蔓延や鉱毒による健康被害等が発生、その水源に依存する地域全体に致命的な事態をもたらす結果となった。
さらに河川の改修などにより、水辺の生態系が縮小・破壊された結果、河川の持つ天然の浄水機能が低下するに至り、いよいよ「安全な水」の入手は困難となった。これらの問題を解消するため浄水場は作られた。すなわち、都市化の進行と浄水場の機能拡充は連動しているといえる。
「環境から水を得る施設」である浄水場に対し、下水処理施設は「環境に水を排出する施設」である。両者に適用される安全基準には差があり、また適用される法令等も異なるが、下水道から排出される汚水が環境破壊(水質汚濁)しないよう、一定水準まで水質を改善させるという点においては共通である。
編集 浄化・消毒処理
前述の通り、浄水場は、環境から採取した水を、上水道の形で利用可能にするための施設である。水源の状態や求められる水質安全基準などによって施設の規模はまちまちだが、日本には概ね中水道は存在せず、各消費先へと送られる水道は、調理や飲用を前提とする上水道であるため、飲料水として安全な状態にまで水質を改善させる機能を持つのが一般的である。
浄化方法も多種存在する。沈殿やろ過では固体としての性質をもつ不要ないし有害な物質が取り除けるものの、水溶性の有害物質は除去できない。このため生化学的手段ないし化学処理によって、溶け込んでいる物質を凝固させて取り除く浄化を行い、最終的に塩素やオゾンといった有機物や化学物質と反応し易い物質を使って殺菌する行程を経て送水される。
これら上水を行う施設の機能は、一定範囲の処理機能を持つものの、前提として取水した水に含まれる不要物や有害物質の処理可能な範囲を超えて処理することはできない。このため浄水場の多くでは、取水時と浄水施設の各段階における水に含まれる化学物質や微生物の監視を絶えず行っており、安全基準を超えるような問題が発生した場合には浄水施設の機能点検や動作強化、それでも対応できない場合には水の供給を止め(断水)、水質汚染の被害が拡散しないようにするための安全装置としての役目も担っている。
編集 処理内容と施設
取水口から取水された水は以下の施設で浄化・消毒処理が行われる。
- 沈殿池:大まかな不要物を沈める
- 濾過池:細かな不要物を除去
- 浄水池:塩素等を加える
この行程を経て、水は各配水場・配水池へ配水管を用いて送られ、各家庭や施設へ給水される。
使用後の水は、下水道を経て下水処理場で処理の上、河川等へ放流される。
編集 「おいしい水道水」への挑戦
昭和中頃の大都会では、原水の劣化や周辺環境の悪化に伴い、水道水の「臭み」が問題化した。昭和40年代の東京においては特に顕著で、江戸川の水質悪化を受け、従来の活性炭処理では歯が立たず、一時は「カビ臭く、犬も飲まない中水道以下の水」と酷評されるに至った。
この事態を受け、東京都水道局は、平成4年(1992年)に、金町浄水場においてオゾンによる高度浄水処理を開始、加えて江戸川上流の下水処理能力を向上させるなどした結果、その質は飛躍的に向上、さらに塩素処理を加えたボトルウォーター『東京水』が、市販されるにまで昇華した。
東京以外でも高度浄水処理の導入や、原水地域の環境保全が奏功し、日本の水道水は確実に「おいしく」なっているとする声が多い。
「おいしい水道水」の実現には、浄水場の機能向上が必須ではあるが、周辺環境の向上も不可欠な要素である。社会生活において、常に水環境の保護・向上に留意するのが上水道の恩恵を受ける文明人の責務であると言えよう。
編集 運営方式
浄水場は県営・市営・町営・村営などの運営形態があり、県営浄水場で浄化した水を市町村営の浄水場や配水場に配水する。
